今回は日照.日射について詳しく解説していきます。この分野は現象をイメージできるかが非常に重要になってきます。
学習の段階でしっかり図を自分で書きながら理解を深めていくことをおすすめします。
Contents
1-1.太陽位置図
春秋分:真東(6時)から日が昇り、真西(18時)に落ちる。太陽の描く軌道の角度は東京(北緯35°)の場合55°である。
冬至:日の出、日の入りが南側に約30°ずれ、日の出が1時間15分遅れ、日の入りが1時間15分早まる。中心から見た南中時の太陽高度は31.6°で、他の季節と比べると低い。
夏至:日の出、日の入りが北側に約30°ずれ、日の出が1時間15分早まり、日の入りが1時間15分遅くなる。中心から見た南中時の太陽高度は78.4°で、他の季節と比べると高い。
太陽の描く軌道の角度:55°で季節によって平行に移動する。
1-2.日照時間と可照時間
日照時間:実際に日の照っていた時間
可照時間:日の出から日没までの時間(障害物はないものとした場合の時間)
日照率:可照時間に対する日照時間の割合。
1-3.方位別の可照時間
南面の可照時間:夏至よりも冬至のほうが長い。
夏至の日の可照時間:南面よりも北面のほうが長い。
1-4.日影曲線
日影曲線:鉛直棒(長さ1.0)の先端の影の軌跡を示したもの。
冬至:南寄りに太陽が移動するため、日の出日の入りの影は北側に長くなる。南中時は太陽高度が低いため、影の長さは北側に鉛直棒(長さ1.0)の約1.4倍となる。
春秋分:影の先端の軌跡は、ほぼ直線となる。
夏至:日の出日の入りは北よりに太陽が移動するため、影は南側に長くなる。南中時は太陽高度が高く南寄りになるため、影の長さは北側に鉛直棒(長さ1.0)の約0.2倍となる。
1-5.n時間日影
n時間日影:n時間毎の日影の交点を連ねた範囲。
2時間日影線:1時間毎の日影図の2時間の交点を連ねた範囲は、2時間以上日影となる範囲となる。
4時間日影線:1時間毎の日影図の4時間の交点を連ねた範囲は、4時間以上日影となる範囲となる。
4時間以上日影となる範囲:ある程度の高さでは変化せず、東西方向の幅が広くなるにしたがって大きくなる。
島日影:複数の建築物が東西方向に並んだ場合、建築物の間に複合日影が生じ、建築物から離れたところに島状にその周囲よりも日影時間が長い部分が生じる現象。5時間以上日影となる範囲が島日影と呼ばれる。
終日日影:一日中、日の当たらない部分。
永久日影:夏至の日に終日日影となる部分は、1年中日影であり直接光が射すことはない。
日差し曲線:地表面上の任意の点が周囲建物によって、どのような日照障害を受けるかなどの検討に用いられる。
日照図表:冬至など特定の日の水平面日差し曲線で得られる多数の日差し曲線を1枚の図としてまとめたもの。
隣棟間隔比:冬至において、日照を4時間程度確保するために、南北間の距離Dを建物の高さHで除したものを基準とする。東京(北緯35°)では、D/Hを約2.0とする。
1-6.日射
太陽定数:太陽光線と垂直な面(法線面)の受ける太陽の放射エネルギーであり、年間平均値は約1370w/㎡である。
直達日射:太陽の直射による放射エネルギー。
天空日射:水蒸気、塵埃、空気等の分子による散乱光である青空からの放射エネルギー。
大気透過率:太陽定数\(I_o\)に対する直達日射量\(I\)の比(\(I/I_o\))。
夜間放射(実行放射):地表面放射と大気放射との差。曇天時においては、雲量が多いほど、雲高が低いほど、大気放射は大きくなり、夜間放射は減少する。
1-7.直達日射量
直達日射量:入射角が小さいほど大きくなる。 入射角:面に対しての直角からの角度。
太陽高度が60度となる時の直達日射量:ベクトルとして考える。法線面直達日射量を\(J_N\)、水平面直達日射量\(J_H\)を、南向き鉛直面直達日射量\(J_V\)をとすると、水平面直達日射量\(J_H\)は法線面直達日射量\(J_N\)の\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)倍となる。南向き鉛直面直達日射量は法線面直達日射量の\(\frac{1}{2}\)倍となる。
1-8.壁面等の終日日射量
夏至:太陽高度が高いことから、水平面は入射角度が小さく、直達日射量が大きくなり、終日日射量も大きくなる。
対して南面は入射角度が大きく、直達日射量が小さくなり、終日日射量は東西面より小さくなる。
冬至:太陽高度が低いことから、南面は入射角度が小さく、直達日射量が大きくなり、終日日射量も大きくなる。
対して水平面は入射角度が大きく、直達日射量が小さくなり、終日日射量は南面より小さくなる。
春秋分:春分の日の前に南面と水平面の大小関係が入れ替わり、水平面の終日日射量が一番大きくなる。
1-9.日射熱取得率と日射熱取得率
日射熱取得率:窓ガラスに「入射した日射量」に対する「透過した日射量と窓ガラスに吸収された後、室内側に放射される熱量」の合計の割合。
日射遮蔽係数:厚さ3㎜の透明ガラスの日射熱取得率(1.0)に対する任意の遮蔽物の日射熱取得率の割合。値が大きいほど、日射熱取得率が大きく、遮蔽効果は小さくなる。
1-10.窓ガラスの遮蔽と温室効果
ブラインドの日射遮蔽効果:反射率の高い明色ブラインドの方が、暗色よりも大きい。
南向き窓の日射遮蔽:夏期における南面は、太陽高度が高いため、庇や水平ルーバーが有効である。
西向き窓の日射遮蔽:太陽高度が低い時間の日射を遮蔽するため、可動式鉛直ルーバーが有効である。
日射遮蔽の大小関係:外側ブラインド>内側ブラインド>熱線反射ガラス>熱線吸収ガラス。ただし、熱線反射ガラスと熱線吸収ガラスの熱貫流率は普通ガラスとほぼ同じであり、冬期における断熱効果はほとんど期待できない。
透明板ガラス:波長が300~3000nm程度の太陽放射を80%程度の割合で透過する。室内に侵入した放射は室内の床や壁に吸収された後に再放射され、3000nm以上の長波長となる。長波長となった放射はガラスを透過せず、ほとんど吸収してしまい、ガラスの温度が上昇して温室効果をもたらす。
Low-Eガラス:ガラスを複層とし表面に金属膜コーティングすることで、長波長域(赤外線)の反射率を高めたもの。室内側に金属膜コーティングを用いた場合、冬期の断熱性を高める。また、屋外側に金属膜コーティングを用いた場合、夏期の日射遮蔽効果を高める。また金属膜コーティングは中空層側に設ける。
➀太陽の軌道 ②ガラスに入射する日射の成分
最後に
効率よく勉強するための繰り返し学習教材を無料で配布しています。
この記事がわかりやすいと思った方は、まずは無料講義に参加をしてみてください。
継続的に参加することで基本的な内容は理解することができます。
詳しい内容はLINEチャットで随時報告していきます。