法規 定期報告について

今回は特定行政庁に定期報告が必要な建築物について詳しく解説していきます。
条文を読み解こうとしたとき、解釈の仕方によって間違える場合があります。
正しく条文を理解しておくことで、確実に正解出来るように、練習しておきましょう。

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定期報告の対象:法第12条1項(報告、検査等)

定期報告が必要な建築物は上記の規定により、大きく二つにわかれます。

① 第6条第1項第一号に掲げる建築物で政令で定めるもの 
  → 令第16条1項に掲げる建築物
② ①以外の以外の特定建築物で特定行政庁が指定するもの 
  → 第6条第1項第一号 令第16条2項、令第14条の2

まず①ですが、
第6条第1項第一号に掲げる建築物とは、特殊建築物で100㎡を超える建築物を指します。
該当する建築物で令第16条1項に掲げる建築物
必ず特定行政庁に定期報告しなければなりません。

令第16条1項
一号:地階又は3階以上 法別腸1(い)欄(1)項 100㎡以上
二号:劇場、映画館、演芸場の用途 主階が1階にないもの
三号:地階又は3階以上 法別腸1(い)欄(2)項 200㎡以上
四号:3階以上 法別腸1(い)欄(3)項 2000㎡以上
五号:地階又は3階以上 法別腸1(い)欄(4)項 200㎡以上

次に②ですが、
特定行政庁が指定するものが前提条件になります。
そもそも指定していない場合は、②に該当しないので注意が必要です。

特定建築物とは
①特殊建築物で100㎡を超える建築物
②事務所等の用途で階数が5以上、かつ、延べ面積が1000㎡を超える建築物
を指します。

事務所等で規模を確認する場合「かつ」であること
つまり階数と延べ面積の条件2つ揃って該当するということです。

また、1000㎡を超えるということは、1000㎡までは該当しないことに注意しましょう。

まとめ
まずは問題文に
「特定行政庁が指定するものの所有者」と書いてあるか必ずチェックしましょう。
書いてある場合、
特殊建築物100㎡を超える建築物、
事務所等の用途で階数が5以上かつ延べ面積が1000㎡を超える建築物
(特定建築物)に該当するか、確認しましょう。

書いていない場合、
令第16条1項各号に該当しているか確認しましょう。

該当した場合
一級建築士又は二級建築士又は建築物調査員
建築物の敷地、構造及び建築設備ついて
特定行政庁に定期報告しなければならないと判断しましょう。

特定建築設備等の報告 法第12条3項

特定建築設備とは
①昇降機
②特定建築物に設けた建築設備、防火戸、防火設備
を指します。

特定建築設備で特定行政庁に定期報告が必要な対象は、

① 特定建築物設備等で政令で定めるもの 
  → 昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機)
② ①以外で特定行政庁が指定するもの 
  → 特定建築物で昇降機以外の建築設備等(建築設備、防火戸、防火設備)
まとめ
①昇降機は定期報告が必要です。
②それ以外は特定建築物に設置する建築設備で特定行政庁が指定するものは
定期報告が必要となります。
該当した場合
一級建築士又は二級建築士又は建築設備等検査員
その検査結果について、
特定行政庁に定期報告しなければならないと判断しましょう。

練習問題

問1
延べ面積1500㎡、地上5階建ての事務所(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者等は、当該建築物の敷地、構造等について、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

①まずは特定行政庁が指定するものなのかチェックします。

「特定行政庁が指定するものの所有者等は」と書いてあるので、
次は特殊建築物に該当するか確認します。

問題は、事務所なので、特殊建築物には該当しません。

②事務所等の用途で階数が5以上、かつ、延べ面積が1000㎡を超える建築物に該当するか確認します。

階数が5で1500㎡なので、両方を満たします。

答え: 〇 特定行政庁に定期報告しなければなりません。

問2
患者の収容施設がある地上3階、床面積300㎡の診療所(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)の所有者等は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、一定の資格を有する者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

①まずは特定行政庁が指定するものなのかチェックします。

特定行政庁の指定がないので、政令で定めるものに該当するか確認します。

患者の収容施設がある診療所は法別腸1(い)欄(2)項特殊建築物に該当します。

②その場合、令第16条第1項各号を確認します。
令第16条第1項第三号により、3階以上で床面積の合計が200㎡以上なので、上記の規定に該当します。

答え: 〇 特定行政庁に定期報告しなければなりません。

まとめ

特定行政庁の指定がない場合、事務所等は報告が必要ありません。
指定がない場合は、政令で定めるもの(令16条)に該当するか確認しましょう。
また、指定がある場合で、特殊建築物の場合、100㎡を超えればその時点で報告の義務があります。

きちんと条文を整理して、理解したうえで問題に取り組みましょう。

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