今回は温熱環境指標について詳しく解説していきます。
室温を評価する際には様々な指標が存在します。
現在その評価で一般的なものは温熱環境に関する6要素を考慮するものとなっています。
それらを踏まえて指標によってどのような違いがあるのか見ていきましょう。
PMV(予想平均温令感申告)
①温熱環境6要素を考慮した総合温熱環境指標。
②多数の在室者の平均的な温令感を表すもの。
③-0.5<PMV<+0.5(PPD<10%)の範囲が快適範囲。
④PMV=O(PPD=5%)理想的な快適範囲。
⑤-1.0<PMV<+1.0の範囲で使用するのが望ましい。
不均一な放射環境、
上下温度分布が大きい環境、
通風環境
に対しては適切に評価できない場合があります。
ET*(新有効温度)、SET*(標準新有効温度)
①温熱環境6要素を考慮した総合温熱環境指標。
②発汗を伴うような蒸暑環境の評価には PMVよりも優れるとされている。
ET*(新有効温度)
相対湿度50%を基準とした仮想条件のときの温度。
SET*(標準新有効温度)
ET*を標準化した指標。
着衣量0.6clo、代謝量1.0~1.2met、気流0.1~0.15m/sec、相対湿度50%、MRT=室温
という仮想条件のときの温度。
SET*≒22~26℃が快適、許容できる範囲。
ET(有効温度)、CET(修正有効温度)
①室温・湿度・気流の3要素を対象
②放射の影響が含まれていない。
③室温の代わりにグローブ温度を用いて放射の影響を加味したものを修正有効温度CETという。
1930年代に提案され、今ではET*、SET*が使われている。
作用温度OT
①気温、気流、放射の3要素を総合した温熱指標。
②主に発汗の影響が小さい環境下における熱環境に関する指標として用いられる。(暖房時)
③気温と平均放射温度MRTの重みづけ平均と定義される。
④グローブ温度とほぼ一致する。
$$OT≒\frac{室温+MRT}{2}≒グローブ温度$$
グローブ温度:黒塗りの銅球に温度計を差し込んで測った温度。放射と気流の影響を受ける。
平均放射温度(MRT):近似値的にいうと、内室壁の平均表面温度。グローブ温度、空気温度、気流速度から簡易的に求めることが出来る。
上図のように室温とMRT(平均放射温度)の平均値により簡易的に求められるのが作用温度OTとなります。
その時の温度がグローブ温度とほぼ一致するということです。
室温よりMRT(平均放射温度)が高ければ暖かく感じます。
また以上のことから作用温度OTは湿度を考慮していないことがわかります。
まとめ
ET*、SET*は蒸暑環境の評価には PMVよりも優れていると覚えましょう。
作用温度OTは湿度を考慮していない、グローブ温度と同じ温度、気流、放射を考慮した指標です。