採光・照明 光の単位

今回は照明計画における基本の光の単位について詳しく解説していきます。
いろいろな単位が出てきますが、なぜその単位なのかを考えると理解が深まります。
この項目も暗記ではなく単位の意味をしっかり理解した上で覚えましょう。

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ワット(W)とルーメン(lm)の違い

白熱電球によく使われているワットという単位は、消費電力を示す単位となります。白熱電球は消費電力と明るさの間に対応関係があったため、光の明るさとしてもワットが使われてきました。
しかし、同じワット数でもより明るい照明器具である蛍光灯やLED照明が主流となったため、明るさを示す単位はルーメンが使われるようになりました。
ルーメンは人の目が敏感に感じる光を考慮して数値を決定しています。ですので同じワット(消費電力)であっても明るい照明の評価を適切に行うことが可能になります。

標準比視感度

人間の目に光として感じる波長380~780nmとなります。その中でも一番光を強く感じる波長は555nm(緑~黄)であり、その波長の視感度を1.0とした時、他の波長の視感度の割合をグラフ化したものが標準比視感度曲線となります。

つまり照明器具の分光分布により、同じワット(消費電力)であっても明るく感じやすい555nmに近い波長の光を多く放つ照明は、より明るく感じるということになります。
蛍光灯と白熱電球の分光分布を比べると555nmの波長の光が多いのは、蛍光灯だということがわかります。

ちなみに555nmは683lm/Wに相当し、他の波長はグラフに対応する視感度の割合を乗じれば、数値を割り出すことが出来ます。lm/Wという単位は消費電力1Wあたり何lmの明るさが得られるかというエネルギーの効率を表しています。

光の単位

光束 F(lm:ルーメン)
光束標準比視感度で補正されているので、照明器具によって値が異なり、明るく感じる(波長が555nmに近い)ほど数値が大きくなります。
白熱電球 15~20lm/W 
蛍光ランプ 60~91lm/W
LED 30~100lm/W
同じワット数なら、白熱電球より、蛍光ランプのほうが明るいことを示しています。
以下に取り上げる光束をもとに表している光の単位は、全て比視感度で補正されていることになります。

光度 I(cd:カンデラ lm/sr)
光度特定の方向に出射する単位立体角当たりの光束です。単位立体角とはsr:ステラジアンのことを言います。これは半径がrの球体の球面上の面積がrの二乗であるとき、中心からの立体角を1srと定義しています。この立体角の中にどのくらいの光束があるのかを示したのが光度になります。

本来照明は方向によって光束量が異なります。スポットライトをイメージすると解ると思いますが、光が当たっているところと当たってないところがあるように、照明器具によって光が出射される方向が異なるのです。それらの明るさを判断するために特定の方向を決定する必要があります。それが光度です。各方向に対する光度配光といい、空間に広がる光度の分布を極座標上に表した曲線配光曲線といいます。

照度 E (lx:ルクス lm/㎡)
照度は受照面に入射する単位面積当たりの光束で表します。つまり受照面1㎡当たりにどのくらいの光束量があるのかで数値が決まります。

上記の図から、1ステラジアン当たり4つの矢印分の光束が出ているとします。これを仮に4ルーメンとした場合。
距離が1mの時、面積は1㎡となります。この時、光度は1ステラジアン当たりに4ルーメンであると解ります。そして照度は1㎡当たりの光束量を表す単位なので4ルーメンであると言えます。
距離を2m(2倍)にしたとき、面積は4㎡となります。この時、立体角は変わらないので1ステラジアン当たりの光束の量は変わりません。つまり距離が変わっても光度は一定で、光束は4ルーメンになります。
その時の照度は、1㎡当たりの光束量なので4㎡の4分の1の量、つまり1ルーメンであることになります。
以上のことから、照度光度に対して距離の二乗に反比例することが解ります。
式に表すと
E = I / R² 

E:照度
I:光度
R:距離

となります。

光束発散度 M (rlx:ラドルクス lm/㎡)
光束発散度は光源、反射面、透過面から出射する単位面積当たりの光束で表します。
つまり照度からの跳ね返ってきた、あるいは透過した光束量です。
ですので照度に反射率、透過率を乗じることによって求めることができます。

輝度 L (cd/㎡ lm/㎡・sr)
輝度は光源、反射面、透過面から特定の方向に出射する、その方向から見た単位面積当たりの光度、つまり単位面積当たり、単位立体角当たりの光束です。
簡単に分かりすく言うと、受照面から跳ね返った光を見た時のまぶしさと言えます。受照面の反射率が高いほど、多くの光が跳ね返ってくるのでまぶしく感じます。
照度距離が決まると一定の数値になり、受照面の反射率は関係ありませんが、輝度は受照面の反射率によって数値が変わるということをイメージしておきましょう。

まとめ

光の単位はそれぞれの関係性をイメージしながら単位を覚えましょう。
計算問題も難しい問題はでないのでしっかり光度と照度の関係を理解しておきましょう。
特に光度から照度を求める問題は角度が重要になってきます。また輝度を求める問題では反射率が重要になってくるので意識して問題に取り組んでみてください。

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