今回は色彩の特徴についてまとめました。
実際の色を見ながら、物体色と光源色の違いをイメージできるようにしましょう。
3-1.色の三原色
加法混色:光の混色などに見られ、混ぜ合わせる光が増すごとに、明るさが増加して白色に近づく。加法混色(光)の三原色は赤(R)・緑(G)・青(B)。
減法混色:色フィルター等の色を吸収する媒体を重ね合わせて別の色を作ることをいい、混ぜ合わせを増すごとに明るさが減少して黒色に近づく。減法混色(色料)の三原色はシアン(C:青緑)・マゼンタ(M:赤紫)・イエロー(Y:黄)。
3-2.物体色を表す表色系
マンセル表色系:有彩色は、色相(マンセルヒュー)、明度(マンセルバリュー)、彩度(マンセルクロマ)の順序で記号を表示する。
色相(マンセルヒュー):10色相を円周上に等間隔に配置。
修正マンセル表色系:マンセル表色系の隣接する色彩が感覚的に等間隔になるように修正されたもの。
明度(マンセルバリュー):反射率が0%の完全な黒を0、反射率が100%の完全な白を10とする11段階に区分。
視感反射率ρ:明度Vが3~8の場合、ρ≒V(V−1)[%] となる。
ρ:反射率 V:マンセルバリュー(明度)
明度V=5では、視感反射率ρ≒5(5−1)≒20 [%] となり、反射率は50%とはならない。
彩度(マンセルクロマ):無彩色が0、中心軸から遠ざかるほど大きくなり、彩度が最高のものを純色という。純色の彩度は色相、明度によって異なり、10以上になる。赤の純色は彩度が14。
顕色系:色の三原色に基づいて、均等な感覚になるように配列した表色系。(マンセル表色系、PCCS等)
混色系:光の三原色の混色の割合によって色を表す表色系。(XYZ表色系)
補色:混色によって無彩色となる二つの色。マンセル表色系では向かい合った色が補色の関係となる。
色度:色相と彩度を数量的に表示したもの。
3-3.光源色を表示する表色系
CIEのXYZ表色系:光の三原色に基づく加法混色をベースにし、光源色及び物体色を表すことができる。
すべての色をX(赤), Y(緑), Z(青)の3刺激値によって表示し、明るさはYのみが表す。
[R][G][B]の混色量では、色域の単色光を正確に再現できない部分があり、こうした不都合を数学的に回避するために考えられた。
三刺激値(XYZ)は虚色の混色量なので値を見ても抽象的でイメージできないため、実際には三刺激値(XYZ)を比例配分して、xyzを定め、明るさを示すYの値で全色を表す。
\(x=\frac{X}{X+Y+Z}\) \(y=\frac{Y}{X+Y+Z}\) \(z=\frac{Z}{X+Y+Z}\)
三刺激値(XYZ)全体に対して、X(赤), Y(緑), Z(青)の割合を表すことで、色を表現している。
xy色度図:xとyが決まればzの値は分かるため、zの表示を行わず、明るさを示すYの値を用い、Y,x,yの3つの値で全色を表す。明るさを示すYの値として、物体色は視感反射率、光色は測光量が使われる。
x軸は数値が大きくなるほど赤が強くなり、y軸は緑が強くなり、また、原点に近づくほど青が強くなる。
外周部は色相を表し、中央部は白色で、外周に近づくほど彩度が高くなる。
xy色度図は物理量に基づき、二つの色の加法混色の結果は、xy色度図上の二つの色の点を結んだ直線上に表される。
物理的に等間隔な座標で表示しているので、xy色度図上の色度点間の距離が等しくても、人間の感覚的色差は必ずしも等しくならない。
XYZ表色系は加法混色(光)をベースに、物理的に等間隔に並び、光源色と物体色を表す。
3-4.色の特性
面色:青空のように距離感があいまいな色の見え方のことである。
開口色:面色の一種で、小さな穴を通して見る色のことである。面色と同様に位置や距離が特定できず、表面の細かいあや(肌理)が感じない色の見え方である。
色の恒常性(視覚恒常):照明の光が少々変化しても、その光が一様に物体に当たっていれば、その照明の分光分布に応じて人間の目の青、緑、赤の感度比が自動的に補正され、物体から反射されて実際に目に入る光の割合が異なっても、物体の色を同じ色に認識できる性質。
面積効果:同じ色であっても、面積の大きいもののほうが小さいものに比べて、明度、彩度とも高く見える現象をいう。色票を用いた視感による測色において、測色する部分の面積が大きい場合は、面積効果を生じさせないように無彩色のマスクを使って、視角(見える大きさと距離)をそろえる。
記憶色:さまざまな対象物において、イメージとして記憶されている色。実際の色彩に比べて、明度・彩度ともに高くなり、対象となる色が強調される傾向があり、その対象にとって好ましく感じられる方向に変化する傾向がある。
色彩の同化:ある色が他の色に囲まれている(挟まれている)時、囲まれた(狭まれた)色が周囲の色に似て見える現象。囲まれた色の面積が小さく(ストライプの間隔が狭く)、配色された色の色相・明度・彩度が近似しているほど同化しやすい。
色彩の対比:ある色が他の色に囲まれている(挟まれている)時、囲まれた(狭まれた)色が周囲の色とその周囲の色との相違が強調される現象。
視認性:注視している対象がはっきり見えるか否かに関する特性であり、向上させるためには、視対象の色と背景の色との間で、色相、明度、彩度の差を大きくすれば良い。特に人間の目は明るさの変化に敏感なので、視認性に対する明度差の影響が大きい。
誘目性:たくさんの色の中での目立ちやすさをいい、明度、彩度が高いほど誘目性は高くなる。一般に、無彩色よりも有彩色のほうが高く、色相では赤が最も高く、青がこれに続き、緑は最も低い。
色調(トーン):色の濃淡、明暗や鮮やかさなど色の調子を表す明度と彩度とを合わせた概念。
建築空間の色彩:建築空間の場合、天井・壁・床など固定的で大面積を占める部分は、基調色と呼ばれ、低彩度色が用いられることが多い。
強調色(アクセントカラー):建築空間において、小面積の高彩度色を大面積の低彩度色に対比させて用いると、大面積の低彩度色が引き締まり、小面積の高彩度色が強調される。
安全色:緑は、安全、避難、衛生・救護、進行。青は、指示、誘導。
まとめ
色は概念的なものなので覚えるというより、何度も繰り返し見ることが大事です。
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