法規 構造強度について

今日は構造強度について詳しく解説していきますが、毎年生徒に教えていても一度では理解できず、難しい項目だと感じている方が多いように思えます。
しかし、毎年問われている内容をみても、基本的な知識さえあれば解ける問題しか出ていません。
解き方の手順を覚えてしまえば、確実に得点できる項目になります。
しっかり内容を理解して学習を進めましょう。

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まずは構造強度の全体像を説明すると下記の3つのポイントになります。
①建築物の区分(法20条1項)
②構造計算の方法(令81条)
③適用すべき使用規定(令36条)

法20条1項で建築物の構造と規模によって1号から4号まで分類され、
それによって令81条で構造計算の方法が決定し、
最終的に守らなくてはならない仕様規定が令36条により判断できるか、

という問題が毎年出題されます。

この3つの段階をひとつずつ見ていきましょう。

またそれ以外の問題は、ほとんどが仕様規定に書いてあることが正しいかを判断させる問題になります。
仕様規定とは、主に構造別に守らなくてはならない規定が書いてあります。
今回の記事では取り上げませんが、令36条から令99条まで仕様が細かく規定されているので、
どこに何が書いてあるのかを把握することで、ほとんどの問題は解くことができます。
仕様規定は法規だけではなく構造でも問われてくる項目になるので、しっかり読み込んでおきましょう。

建築物の区分(法20条1項)

法20条1項を開くと1号~4号まで構造と規模によって何号建築物なのか判断することができます。

建築物の区分(法20条1項)
一号60m超えるもの
二号木造 ①高さ13m超えるもの ②軒高9m超えるもの
   鉄骨造 ①階数(地階を除く)4以上 ②高さ13m超えるもの ③軒高9m超えるもの
   鉄筋コンクリート造 ①20m超えるもの
三号木造 ①3階以上 ②延べ面積500㎡超えるもの
   木造以外 ①2階以上 ②200㎡超えるもの
四号上記以外

構造計算の方法(令81条)

次に構造計算の方法ですが、先ほどの建築物の区分で何号建築物に該当するを判断することにより、それによって構造計算の方法が決まります。

構造計算の方法(令81条)
一号時刻歴応答解析等
二号31m超え ①保有水平耐力計算 ②限界耐力計算
   31m以下 ①保有水平耐力計算 ②限界耐力計算 ③許容応力度等計算
   それ以外:①大臣認定プログラムによる計算 ②上位計算(時刻歴応答解析)
三号一次設計 令82条各号(応力度)+令82条の4(屋根ふき材等)
   それ以外:①大臣認定プログラムによる計算 ②上位計算(一号、二号)
四号構造計算不要
ポイント
二号建築物に該当するもので31m以下の場合、許容応力度等計算が行えることを覚えましょう。

ここまで理解すれば解ける問題がけっこう増えてくるので練習問題でポイントを押さえてみましょう。

<練習問題>
問1
鉄骨造、延べ面積200㎡、高さ4m、平家建ての建築物は、構造計算をしなければならない。

答え ×
法20条1項を参照し、三号建築物に該当していないことがわかります。
従って四号建築物と判断できるので、構造計算は必要ありません。

問2
地階を除く階数が3以下である鉄骨造の建築物(高さが31m以下のもの)で、高さが13m又は軒の高さが9mを超えるものは、許容応力度等計算、保有水平耐力計算、限界耐力計算又はこれらと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従った構造計算により安全性を確かめることができる。

答え ○
法20条1項を参照し、二号建築物に該当していることがわかります。
その上でが31m以下という条件から、許容応力度等計算、保有水平耐力計算、限界耐力計算の3つの方法により構造計算が行えることが判断できます。

構造計算の内容(令82条)

次にそれぞれの構造計算の内容について、理解を深めていきます。
それぞれの計算は以下の内容となっています。

許容応力度等計算(令82条の6)
①応力度(令82条)
②層間変形角(令82条の2)
③屋根ふき材等(令82条の4)
④剛性率・偏心率
ポイント
剛性率6/10以上偏心率15/100以下であることを確かめなければならない。
保有水平耐力計算(令82条)
①応力度(令82条)
②層間変形角(令82条の2)
③保有水平耐力(令82条の3)
④屋根ふき材等(令82条の4)
ポイント
層間変形角1/200以内であること。
この4つの計算は必ず必要な計算であって、どれかの計算を確かめたからといって、除いてよい計算はない。
限界耐力計算(令82条の5)
構造耐力上主要な部分の断面に生ずる地震時以外の荷重である
長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、
それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する
各許容応力度超えないことを確かめなければならない。
ポイント
積雪時は積雪荷重の1.4倍
暴風時は風圧力の1.6倍
として計算する。

また構造計算を行った場合、構造計算適合性判定が必要になってくるものがあります。

構造計算適合性判定が必要な構造計算
①法20条1項1号(時刻歴応答解析等)→必要ない
法20条1項2号(許容応力度等計算、保有水平耐力計算、限界耐力計算、大臣認定プログラム)→必要
③法20条1項3号(一次設計)→必要ない ただし、大臣認定プログラムによる計算を行う場合は必要
ポイント
法20条1項2号における建築物は構造計算適合性判定必要になってくると覚えましょう。
それよりも上位の法20条1項1号(時刻歴応答解析等)は構造計算適合性判定が必要ありません。

それではここまでの知識を使って練習問題にチャレンジしてみましょう。

<練習問題>
問3
許容応力度等計算を行う場合、建築物の地上部分については、「各階の剛性率が、それ6/10以上であること」及び「各階の偏心率が、それぞれ15/100を超えないこと」を確かめなければならない。

答え ○
許容応力度等計算のポイントの通りです。

問4
保有水平耐力計算においては、高さ25mの鉄筋コンクリート造の建築物の地上部分について、保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であることを確かめた場合には、層間変形角が所定の数値以内であることを確かめなくてもよい。

答え ×
保有水平耐力計算のポイントの通りです。
4つの計算はすべて行う必要があります。

問5
限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。

答え ○
限界耐力計算のポイントの通りです。

問6
鉄骨造、高さ13m、軒の高さ10m、地上2階建ての建築物については、都道府県知事又は指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定の対象となる。

答え ○
軒の高さ9mを超えているので法20条1項2号建築物と判断することができます。
つまりその時点で構造計算適合性判定の対象となることがわかります。

適用すべき使用規定(令36条)

最後に適用すべき使用規定についてですが、これは構造計算を何によって行うのかによって決まります。
また耐久性等関係規定とは何なのかを理解することがとても重要になります。

耐久性等関係規定とは、構造計算とは関係なく守らなくてはならない耐久性等に関する一定の規定をいいます。
言い換えると、どんなに難しい構造計算をしたとしても、絶対に守らなくてはいけない仕様規定です。

適用すべき使用規定(令36条)
時刻歴応答解析及び限界耐力計算:耐久性等関係規定だけ守っていればその他の規定は守らなくても良い。
保有水平耐力計算:耐久性等関係規定以外にも守らなくてはならない規定が一部存在する。
許容応力度等計算:すべての仕様規定を守らなくてはいけない。

上記のまとめから、
限界耐力計算耐久性等関係規定だけを守れば良いことがわかります。
そこで耐久性等関係規定はどういう項目になるのかを把握していきましょう。

耐久性等関係規定
①構造計算による基本原則
・構造方法に関する技術的基準(令36条)
・構造計算の原則(令36条の3)
・基礎(令38条1項)
・屋根ふき材等の緊結(令39条1項)
②建築物の品質確保に係る規定
・木材(令41条)
・コンクリートの材料(令72条)
・コンクリートの強度(令74条)
③耐久性に係る規定
・構造部材の耐久(令37条)
・基礎(令38条6項)
・外壁内部等の防腐処置等(令49条)
・鉄筋のかぶり厚さ(令79条)
・鉄骨のかぶり厚さ(令79条の3)
④施工性に関する規定
・基礎(令38条5項)
・コンクリートの養生(令75条)
・型わく及び支柱の除去(令76条)
⑤防火性に係る規定
・鉄骨造の柱の防火被覆(令70条)
ポイント
上記の項目は絶対に守らなくてはいけない規定(耐久性等関係規定)になります。
法令集で引ける様に令第にマーカー等で目印をつけておきましょう。

次に保有水平耐力計算ですが、守らなくてはいけない規定を探すより、守らなくてもいい規定を探せるようにしておく方が楽になります。
これは令36条2項一号の条文中のかっこ書きに該当するものとなります。

保有水平耐力計算のときに守らなくていい規定(令36条2項一号かっこ書き)
5節(鉄骨造)
・令67条1項(鋼材の接合)一号~四号の処置に関する部分は適合されなければならない。
・令68条4項(ボルト孔の径)
6節(鉄筋コンクリート)
・令73条(鉄筋の継手及び定着)
・令77条二号(柱の構造のうち、主筋は帯筋と連結すること)
・令77条三号(柱の構造のうち、帯筋の径と間隔)
・令77条四号(柱の構造のうち、帯筋比)
・令77条五号(柱の構造のうち、柱の小径)
・令77条六号(柱の構造のうち、主筋の断面積の和)
・令77条の2第2項(床版の構造のうち、プレキャスト版)
・令78条(はりの構造)
・令78条の2第1項三号(耐力壁の構造のうち、壁筋の配置)
7節の2(その他)
・令80条の2(構造方法に関する補足)大臣が定めた技術基準のうち、指定する部分に限る。
ポイント
今度は守らなくていいものをまとめたものであることに注意してください。
先ほどと同様に、法令集で引ける様に令第にマーカー等で目印をつけておきましょう。

それでは最終的にどのような問題として出題されるのか見ていきましょう。

<練習問題>

問7
鉄骨造の柱の防火被覆及び鉄筋コンクリート造の鉄筋のかぶり厚さの規定は、耐久性等関係規定に該当する。

答え ○
鉄筋コンクリート造の鉄筋のかぶり厚さの規定は令79条であり、耐久性等関係規定に該当します。

問8
高さが60mを超える建築物で、所定の構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものは、耐久性等関係規定に適合しない構造方法を用いることができる。

答え ×
60mを超える建築物は時刻歴応答解析等で計算することになります。
その場合でも耐久性等関係規定は絶対に守らなければなりません。

問9
鉄骨造の建築物において、限界耐力計算によって安全性を確かめる場合、柱以外の構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、250以下としなければならない。

答え ×
鉄骨造の圧縮材の有効細長比は令65条に規定されます。
限界耐力計算を行う場合、耐久性等関係規定だけ守ればいいです。
従って、令65条は耐久性等関係規定ではないので、守らなくてもいいです。

問10
保有水平耐力計算によって安全性が確かめられた鉄筋コンクリート造の建築物は、構造耐力上主要な部分である柱の帯筋比を、0.2%未満とすることができる。

答え ○
鉄筋コンクリート造の柱の帯筋比は令77条四号に規定され、保有水平耐力計算を行う場合には守らなくてもいいものに該当します。

まとめ

練習問題でやってもらった問題はすべて過去問からの出題になります。
ポイントを押さえれば簡単に解くことが可能です。
しっかり全体像を把握しながら、手順を押さえましょう。

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