法規 容積率の計算について

今回は容積率の計算について詳しく解説していきます。
計算手順を覚えてしまえば、そんなに難しい計算はありません。
問題文からしっかり情報を読み取れれば確実に正解出来ます。
どういうことに注意したらいいのかを過去問を通して見ていきましょう。

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計算手順

<問1>
図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の延べ面積の最大のものは、次のうちどれか。ただし、建築物内のエレベーターの昇降路の部分の床面積は80㎡とし、これ以外の住宅、老人ホーム等、自動車車庫等、備蓄倉庫、その他容積率の算定の基礎となる 延べ面積に算入されない用途に供する部分はないものとする。また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定等はないものとする。

①. 前面道路幅員の確認(容積率の限度)

1.指定容積率(\(V_s\)):都市計画において定められた数値。問題文に必ず記載される。
2.前面道路幅員による容積率(\(V_d\)):前面道路幅員にそれぞれの係数を乗じた数値。用途地域 住居系4/10 その他6/10

容積率の限度は、(\(V_s\))と(\(V_d\))の両方の数値以下とする。
つまり小さい方の数値を敷地面積と乗じることによって、建築することができる延べ面積の最大値を割り出すことができる。

ポイント
前面道路が二つ以上ある場合、最大幅員の数値とする。
前面道路幅員が12m以上である場合、指定容積率(\(V_s\))が採用される。

問1の整理
法第52条第1項、第2項
前面道路の幅員が12m未満であるので、容積率の限度は、(\(V_s\))と(\(V_d\))を比較して小さい方の数値による。

②.特定道路による前面道路幅員の緩和

特定道路とは、幅員15m以上の道路のことを指す。

敷地に接している前面道路がこの特定道路に接している場合、前面道路が緩和できる可能性があるため必ず検討を行う。

緩和の条件として、

①特定道路(幅員15mの道路)がある。
②前面道路幅員(Wr)が6m以上12m未満である。
③特定道路からの距離(L)が70m以内の敷地である。

この3つの条件に当てはまる場合、下の式の数値を前面道路幅員に加算することができる。
$$Wa=\frac{(12-Wr)(70-L)}{70}$$

問1の整理
特定道路による緩和に当てはまるため

法第52条第9項、令第135条の18
$$Wa=\frac{(12-Wr)(70-L)}{70}=\frac{(12-8)(70-35)}{70}=2.0m$$
西側前面道路の幅員は8m+2m=10.0mとみなされる。

3. 前面道路のうち最大幅員を確認

前面道路のうち最大幅員は、10.0mとなる。

4. 前面道路幅員による容積率の計算

前面道路幅員に、住居系なら4/10を、その他なら6/10を乗じる。

ポイント
容積率が制限の異なる2以上上の地域に属する場合、それぞれの地域の容積率の限度に敷地の各部分の面積を乗じて合計したものが、延べ面積の最大値となる。
つまりそれぞれの敷地について(\(V_s\))と(\(V_d\))を検討していく。

問1の整理

商業地域
(法第52条第2項第三号)
10.0×6/10=60/10
(\(V_s\)):50/10
(\(V_d\)):60/10

準住居地域
(法第52条第2項第二号)
10.0×4/10=40/10
(\(V_s\)):20/10
(\(V_d\)):40/10
   

⑤.容積率の限度の決定

(法第52条第1項、第2項)
指定容積率(\(V_s\))と前面道路幅員による容積率(\(V_d\))を比較
(\(V_s\))と(\(V_d\))いずれか小さい方の数値を採用

問1の整理
商業地域→(\(V_s\)):50/10
準住居地域→(\(V_s\)):20/10

⑥. 敷地面積の計算

法第42条第2項道路による道路後退部分は、敷地面積に算入しない。
法第42条第2項道路とは4m未満の道路を指す。

ポイント
4m未満の道路で道路中心線から2mの範囲は敷地面積に算入されない。
敷地の反対側が川、崖地等の場合、反対側の境界線から4mの範囲は敷地面積に算入されない。

問1の整理

商業地域→15m×40m=600㎡   
準住居地域→(11m-1m)×40m=400㎡

⑦. 容積率の算定の基礎となる延べ面積の最大値

(法第52条第1項)
敷地面積×容積率の限度(容積率算定上の延べ面積)

問1の整理

商業地域→600㎡×50/10=3,000㎡
準住居地域→400㎡×20/10=800㎡

法第52条第7項
3,000㎡+800㎡=3,800㎡

⑧.敷地に建築できる延べ面積の最大値

(令第2条第1項第四号)
容積率の算定の基礎となる延べ面積に、算入しなければならない部分の床面積を加算する。

算入適用床面積(法第52条第3項・第6項、令第2条第3項)

①住宅・老人ホーム等の地階部分(建築物全体の1/3までを限度として算入しない)
②自動車車庫等部分 (建築物全体の1/5までを限度として算入しない)
③備蓄倉庫・蓄電池設置部分(建築物全体の1/50までを限度として算入しない)
④自家発電設備設置・貯水槽設置・宅配ボックス部分(建築物全体の1/100までを限度として算入しない)
⑤エレベーターの昇降路、共同住宅・老人ホーム等の共用の廊下・階段(該当部分の全面積を算入しない)

法第52条第6項
エレベーター昇降路 80㎡

問1の整理
答え
令第2条第1項第四号
3,800㎡+80㎡=3,880㎡
よって選択肢3が正解

まとめ

計算手順は何度も繰り返し行って、覚えましょう。
まず初めに問題文をしっかり読んで、重要なポイントを整理する癖をつけましょう。
そうすることで見落としが減って、確実に正解にたどり着くことができるようになります。

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